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- text: TAKESHI GOTO
- photo: DAIJIRO KORI
- (MOTO NAVI2008年12月号掲載)
「オートバイの進化って、いったいなんだったんだろうなあ。」ステルビオに乗った正直な感想である。19インチのバイアスタイヤで空冷のVツインエンジン。まるでひと昔前のマシンみたいな構成なのに最近乗ったどんなマシンよりもしっくりと体に馴染んだのである。ステルビオはマルチパーパスだ。オンだけでなく路面の荒れたところやオフも走れるように作られている。ほとんどのライダーからすると、このサイズのマシンでオフロードを走ることなんてないだろうから、ブロックタイヤも長いサスペンションも日本じゃ必要ない、なんて思ってしまうかもしれない。でも違うのだ。こういう設定だからこそ、このマシンは面白いのである。
荒れた道の走破性に優れた19インチのフロントタイヤは、オンロードで独特の安定感と軽快さを持っている。17インチみたいにコーナーのインに切り込もうとしないから、とてもゆったりと走ることもできる。バンクしていく時も自然に倒れていくから気分がいい。
長いサスペンションも軽快なハンドリングに一役買っている。重心っていうのは、低けりゃいいってもんじゃないのだ。バイアスのブロックタイヤはグリップが良くない、なんて思っている人がいるとしたら、一度乗ってみればいい。これで十分すぎるくらいグリップすることが分かるはずだ。
エンジンは時代遅れ?の空冷Vツイン。最近やっと4バブルのOHCになったばっかり……なんだけど、これが最高に気持ちいい。低中回転じゃドコドコと力強い鼓動感と共に加速していくし、そのまま引っ張ったらこの巨体のフロントを持ち上げんばかりの勢いで猛然と加速する。かと思えば高速巡航では振動もなくスムーズ。これほど色々な表情をもっているエンジン、今じゃグッツィの4バルブだけになってしまった。
タイヤもパーツも高性能なものがどんどん出てくると、商品性を高めるためにもこういうものを使わないわけにはいけない。つまり変わる必要がなくても変わらなくてはいけないわけで、ステルビオのようなバイクは、オフロードを走る、っていう理由があるからこういう車体構成にてきる。で、オンロードを走ると、普通のオンロードバイクよりよっぽどいい。皮肉だよなあ。まあスポーツバイクやネイキッドだって良いものがあることは理解しているんだけど、そんな風に思ってしまうくらい、このバイクは面白いし良く走る。
ライバルのBMW R1200GSが世界中で売れているのだって、似たような理由があると思う。乗ってみたら面白いもの。あっちは、タフなキャラが人気だけど、ステルビオはそれよりも少し都会的。個人的にはもうちょっとだけ「冒険」な感じが漂っていれば完璧だったんだけど、GSより価格は安いし、走りは刺激的だから、このカテゴリーの中で台風の目になりそうな気がする。こういうのがスタンダードとして増えてくるとバイクの世界もずいぶん変わってくるんだろうなあ。新しい流れを作るために僕らだけでも勝手にコイツが「定番」ってことにしませんか、編集長?
モトグッツィにとってはクォータ以来、久しぶりの発売となる大型デュアルパーパスモデル。名前はヨーロッパのワインディングのメッカ「ステルビオ峠」に由来する。パワートレインはグリーゾ8Vと同型のOHC4バルブヘッドを持つ通称「オットーバルボーレ」エンジンに、モトグッツィ伝統のシャフトドライブを組み合わせている。F19インチ、R17インチのスポークホイールにはブロックパターンタイヤを装備し、幅広い路面状況に対応している。また、調整可能な大型スクリーンや2段階の高さが選べるシート、平均燃費などが表示できる多機能デジタルメーターなど、ツアラーらしい快適装備にもぬかりはない。シャフトドライブ特有の癖である加速時の"テールリフト"を抑制する「Ca.R.C」も採用。
| MOTO GUZZI STELVIO | |
|---|---|
| サイズ全長 | 全長2250mm×全幅1025mm×全高1475mm |
| ホイールベース | 1535mm |
| シート高サイズ | 840mm |
| タイヤサイズ | 前110/80-19、後180/55-17 |
| タンク容量 | 18ℓ |
| 乾燥重量 | 214Kg |
| エンジン | 1151cc 空冷4ストローク 縦置V型2気筒 OHC4バルブ |
| 最高出力 | 104.7ps/7500rpm |
| 最大トルク | 11.0kgm/6400rpm |
| 価格 | ¥1,816,500 |
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どんな回転域でも縦置Vツインの鼓動感は途切れないから、ゆっくり走っても飛ばしても楽しい。このエンジンとこの車体、マッチングはかなりいい。一日走り続けたが、まったく疲れないし飽きることもなかった。



