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- text: TOMOHIKO NAKAMURA
- photo: TAKAAKI MIURA
- (MOTO NAVI2008年12月号掲載)
XR1200でまず驚いたのは、現物を見たり乗ったりした人の評判がすこぶるいいことだった。「今のスポーツスターはクルーザーだけど、これだったらスポーツできるよね」、「ダートトラックイメージをうまく使ったよな」「中村も乗り換えたいんじゃない?」といった感じで、みなさんやたらと肯定的なのである。面白いのはそう言ってくる人のほとんどが、国産車や欧州車のユーザーだったことだ。その事実をどう捉えるかは人それぞれだが、“新規ユーザーの獲得”という観点から見るなら、ハーレーの戦略はかなりいい線を突いていると思う。では、すでにハーレーユーザーとなっている人はどう見ているかと…。
本誌ではほとんど触れたことがないものの、僕は06年型883のオーナーで、04年のフルモデルチェンジでクルーザーちっくになってしまったスポーツスターの乗り味を少しでも軽やかにするべく、自分なりにいろいろと手を加えてきた。そういう境遇の僕の目から見ると、XRはうらやましい点が満載だったのだ。
筆頭にあげられるのは、必要にして充分なバンク角。筆頭というわりにずいぶん細かいことを挙げてしまったが、04年以降のスポーツスターのあの絶望的なバンク角、あっという間にマフラーやサイドスタンドのつけ根をガリガリ擦ってしまう感覚に慣れた身からすれば、XRのバンク角は夢のように大きいのである。これに続くXRの美点と言うと、スポーツライディングを楽しむために一新された足まわりや 車体姿勢、乗り手にヤル気を起こさせるライディングポジション(しかし、ステップは後ろすぎだ)、ビューエルXB系からパーツを流用して7000rpmまでビュンビュン回るようになったエンジンなどが挙げられるが、こうやってベースになったスポーツスターとの差別化を図りながらも、ゆっくり走っても楽しく、どんな速度域でも操る手応えが感じられるという、スポーツスター系ならではの美点が一切損なわれて点に、僕はいたく感心する。一本筋が通っていると言うのか、自社製品の美点をよくわかっていると言うのか、ハーレーっていうのは本当に的を射たマシン造りをするメーカーだ。
さてこんなふうにして大いに心を動かされた僕ではあるが、即座にXRに乗り換えたいかと言うと、今のところそうでもない。と言うのも…、ここでちょっと思い浮かべていただきたいのが30cmスケールの定規。既存のスポーツスターが0cm、エンジン設計の一部を共有するビューエルXBシリーズが30cmだとしたら、XRはその中間、15cmあたりのキャラクターを持っている。一方、僕が欲しているのはもっと朴訥で穏やかな7cmあたりの特性で、つまり現状のXRの特性と装備は、僕にとってはちょっと行き過ぎなのだ。
しかも、もしXRのキャラクターが僕が言う7cmあたりだったとしたら、冒頭で述べたすこぶるいい評判はなかったはずだし、そもそもそんな微妙なバイクは売れるもんじゃない。現状のラインアップにありそうでなかったモデルを、インパクト抜群の形で提示したハーレーのXR戦略は、やっぱり正解なのだろうな。
ヨーロッパでは'08年度、日本では’09年度から発売が始まったXR1200は、ハーレーブランドとしては久しぶりに気合いの入ったスポーツモデル。ビューエルXBシリーズからハイコンプピストンや軽量フライホイールなどを転用したVツインエンジンは、ヨーロッパ仕様で90psを発揮(国内仕様は未公表)。
| HARLEY-DAVIDSON XR1200 | |
|---|---|
| サイズ全長 | 全長2195mm×全幅930mm×全高1150mm |
| ホイールベース | 1515mm |
| シート高サイズ | 742mm(加速時) |
| タイヤサイズ | 前120/70-18、後180/55-17 |
| タンク容量 | 13.25ℓ |
| 乾燥重量 | 260Kg |
| エンジン | 1202cc 空冷4ストローク V型2気筒 OHV2バルブ |
| 最高出力 | ー |
| 最大トルク | 91Nm/3500rpm |
| 価格 | ¥1,475,000 |
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既存のスポーツスターと比較すれば格段に運動性能が上がったXR1200だが、市街地を含めてゆっくり流したときの楽しさ依然として顕在。ただしリアの180タイヤは、このシャシーにはちょっと太すぎると思う。



