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- text: RYO SATO
- photo: DAIJIRO KORI
- (MOTO NAVI2008年4月号掲載)
今回のフルモデルチェンジで3代目となったフォルツァはクラス屈指のスポーツスクーターとして、人気を集めているモデルである。お値段は250ccにして69万3000円。先代までのメインターゲットだった若者からすれば、なかなかの高級車だ。
でも、ひとしきり走ってみて、この価格もなるほどなと思った。
今回のモデルチェンジはいわゆる“正常進化”というやつだ。走りから、収納スペースなどの使い勝手に至るまであらゆるところがこれでもかと洗練されている。とくに走りは振動や騒音というカドを全て削り落とした、なめらかな球体にまたがっているような上等なフィーリングだ。
4バルブとなった新設計のエンジンは十分な動力性能と「これ以上何をすれば……」といいたくなるほど静粛で、細かいことをいえば3000〜4000rpmあたりにわずかに単気筒らしい振動を感じるかなという程度のもの。
乗り心地はフレームの強化とロングストロークサスペンションのおかげでしっとりとしていてスムーズそのもの。カタログを見たときに思わず眉をひそめた大台(200kg)越えを見事、車体の安定感へと昇華させている。ビルトインされるスピーカーからはワーグナーが聞こえてきそうなラグジュアリー感があるのだ。
つまり、各部の徹底したリファインの先には、中年ならずとも骨抜きにされそうな“オヤジ殺し”なフィーリングがきっちり盛り込まれているのである。
電子制御式トランスミッション“ホンダSマチック”はさらに進化し、オートシフトモードには坂道などで負荷に応じて自動的にシフトダウンする機能が追加された。もちろん任意でシフト操作できるマニュアルモードも健在である。かといって8000rpmまで引っ張ってガツンとシフトダウン、車体をバンクさせてコーナー出口へ向け猛然と加速……なんていう乗り方は新型フォルツァにはあまり似合わないと思った。それでも信号ダッシュで同クラスのライバルに確実に差をつけられるこの加速力は強みだ。
短所は、ウインドスクリーンが短く、せっかくバイク自体のフィーリングが大人なのに、冬だと北風にさらされて余裕の走りとはいかなくなるところ。応接室のソファーのように広々・快適なシートなのに、寒さで終始震えているという図はなんとなく矛盾した感じであった。
スポーツ性と快適性、加えて環境性能を技術で真っ向から改良、進化させたこの新型フォルツァは、もはや欠点を見つけるのが難しいくらい全てが良くなっていた。
きっとイタリアメーカーが同じものを作ったなら、あちこちエッジを立たせた、空でも飛びそうなカタチになっていただろうなと思う。それを先代のイメージを強く残したスタイルで包んだことに日本的な情緒というか奥ゆかしさを感じた。コンセプトは変えずに、こうした完成度をひたすら高めるモデルチェンジを続ければ、趣味性の高いオートバイの世界でも、同モデルを何代も乗り継ぐ“クラウンおやじ”よろしく“フォルツァおやじ”が出現、なんてこともあるのかもしれない。
多彩な走行モードを装備し、優れたスポーツ性が特徴。新設計の4バルブエンジンは燃焼室形状を変更し、メタルクランク軸受けやデュアルキャタライザーを採用。排出ガス規制に適合しながらも高出力、低振動、低燃費を実現。また、電子制御式オートマチック機構には〝負荷判別機能〟を搭載し、タンデム乗車時や上り坂での負荷に応じて最適なシフトポジションを自動選択してくれる。また、マニュアルシフトモードは変速レシオを7速化し、オートマチックモードには低燃費走行に重点を置いたDモードと加速重視のSモードが用意される。車体重量は先代より30kgほど増加したが、より軽快な走りが楽しめるようになった。車体カラーはABS仕様を加えると全6色。
| HONDA FORZA Z ABS | |
|---|---|
| サイズ全長 | 全長2185mm×全幅750mm×全高1180mm |
| ホイールベース | 1545mm |
| シート高サイズ | 710mm |
| タイヤサイズ | 前110/90-13、後140/70-13 |
| タンク容量 | 12ℓ |
| 乾燥重量 | 201kg(204kg) |
| エンジン | 248cc水冷4ストローク単気筒OHC4バルブ |
| 最高出力 | 22ps/7500rpm |
| 最大トルク | 2.2kgm/6000rpm |
| 価格 | ¥693,000(¥756,000) |
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走行モードを駆使すれば従来の250ccスクーターを完全に凌駕する出足を見せる。ガチッとした車体剛性感は高速走行時でも変化なく、フラットな乗り心地や安定したコーナリングなどの印象は素晴らしいの一言。



