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- text: RYO SATO
- photo: DAIJIRO KORI
- (MOTO NAVI2008年8月号掲載)
初代モンスターは、ネイキッドバイクのド定番ともいえる長寿モデルだ。でも、林道走行やキャンプツーリングなど、泥臭いバイクライフを送ってきた僕にとって、イタリアンデザインの権化のような繊細なスタイルは正直、別世界の乗り物だった。
そして2代目のモンスター696が登場。実に16年ぶりのモデルチェンジだという。
ヨーロッパの街を走る大型オフロードバイクにヒント得て開発されたという初代モンスターは、当時としては非常にユニークなモデルだった。SS譲りの空冷Lツイン、トレリスフレーム、大型燃料タンクに着脱式シングルシートカウルなど、斬新なデザインコンセプトとパフォーマンスを兼ね備えたバイクとして世界中で支持を得た。
696は先代と比べ、少しマッチョなデザインになったものの、基本的なイメージは変わらない。あいかわらず僕とは縁がなさそうな、イタリアンルックのままだ。
なんだかピンとこないまま迎えた試乗会当日。実車に触れてみて、車重の軽さに驚いてしまった。乾燥重量161㎏は、なんとモンスター400よりも軽い。足着きも身長169㎝の自分のカカトが少し浮くぐらいで、随分イメージと違う。タンク前方に設けられたエアインテークがステアリングの“逃げ”をつくり、先代よりもハンドルの切れ角も増したという。しやすいとまでは言わないが、Uターンは普通にできる。ファーストコンタクトでの意外なフレンドリーさに、僕は少々面食らってしまった。別世界の住人であるはずの696の方から、逆に握手を求められてしまった気分だ。
ニーグリップしやすいタンクとガチッとした車体はタイヤの接地感が乗り手にダイレクトに伝わり、トルクの出方が把握しやすいエンジンと相まって、初めて走る峠道でも、ひるまずマシンをバンクさせることができる。ハンドリングやブレーキの動きは、思ったよりもクイックではない落ち着いたフィーリングだ。
最大のハイライトは、コーナー立ち上がりでのエキゾーストノートだ。5000rpmも回すと、2気筒のイメージと違った、ツブのそろった「ダアアアーン」という快音が炸裂する。回しきれる696ccという排気量はこのためだったのね。そう 断言したくなるくらい、気持ちのいいサウンドなのだ。明快な“音”のアプローチは、食わず嫌いのままだった僕のキモチに、文字通りビンビン響いてしまった。696はデザインよりもなによりも、もっと根源的なバイクの魅力を携えていたというわけである。
696はモンスターシリーズの原点“シンプルさがより多くを語る”というコンセプトに立ち返って開発されたという。ニッポン人の僕は、このスタイリングを“シンプル”とまでは感じないけれど、意のままに操れるコーナリング感覚や、刺激的な排気音、頑張れば手が届きそうな車両価格に、なるほどなぁと感心してしまった。
ルックスが良くて運動神経抜群のイタリアンが、素敵な音楽でもてなしてくれる。これでオチないヤツなんているわけないじゃないか!
1993年のモンスター900の登場以来、多彩なバリエーションを展開して、一大ファミリーを形成したモンスターシリーズ。696は「シンプルさがより多くを語る」という、シリーズの原点に立ち返って開発された意欲作。アルミ鋳造製スイングアームや、樹脂製の燃料タンクなどを採用し、非常に軽量な車体が特徴となっている。エンジンは前身である695(日本未導入)のものをアップデートして搭載。出力は9%アップの80psを実現し、リッター当たりの馬力はドゥカティの空冷エンジンとしては最高値を誇る。また、良好な足つきや、増加したハンドル切れ角など、街中でのユーティリティも向上しており、女性ライダーが等身大で付き合えるフレンドリーさも備わった。
| DUCATI MONSTER696 | |
|---|---|
| サイズ全長 | 全長2100mm×全幅-mm×全高1129mm |
| ホイールベース | 1450mm |
| シート高サイズ | 770mm |
| タイヤサイズ | 前120/60-ZR17、後160/60-ZR17 |
| タンク容量 | 15ℓ |
| 乾燥重量 | 161kg |
| エンジン | 696cc空冷4ストロークL型2気筒OHC2バルブ |
| 最高出力 | 80ps/9000rpm |
| 最大トルク | 7.0kgm/7750rpm |
| 価格 | ¥998,000 |
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サウンドを味わうだけならライダーの技量は問われない。アクセルのオンオフだけで、誰もがこのバイクを楽しめる。ハンドルの近いコンパクトなポジションは、平均的日本人の体型にがっちりとハマる。ハンドル幅はやや広め。




