SBKクラス決勝レース完走!
GO──やたっ! すげぇ! けどやるような気がしてた!
ヨシナリ──50台中43位! こんなもんでしょう! ハッハッハ!
GO──いいッ! 順位なんか、いいッ! ……いい……。
松下ヨシナリから歓喜の第一報が入った。2日延期となったマン島TTレース・スーパーバイククラス決勝は、6月8日、フルドライコンディションで行われた。ニッポン……の一部で期待のヨシナリは、50台中43位で6周のレースを走り切ったのである。
GO──どうなのどうなの? マン島TTレース初完走の気分って!?
ヨシナリ──疲れるね。GO──ええっ!? 達成感とか、「ヤッタ〜!」とか、そういうのは?
ヨシナリ──もちろんあるよ。ヤッタ〜!(棒読み)だけど、意外にいつものレースと変わらないかな。それより、とにかく疲れちゃって。
GO──そういうものなんだ。リアルだな……。
ヨシナリ──だってさ、60km×6周で、タイムは2時間何分とかいう世界だよ?「ひとり2時間耐久レース」だもん。しかもギャップだらけのマン島TTコースで。とりあえず安全に無理なく走りきるよう心がけたけど、だんだん集中力が落ちてくるし、最後の方なんか、溝付きタイヤがほとんどスリックになっちゃうんだ。タイヤの使い方がうまくないんだけど……。でも、そんな苦しい後半、5周目にベストラップで周回できたのはよかったかな。
GO──だいたい何割ぐらいの力で走ったの?
ヨシナリ──7〜8割ってとこ。やっぱりプラクティスで危ない思いを何度もしてるから、ホントに気を付けて走ったよ。マウンテンコースで溝に落っこちてるマシンを見ちゃったり、トラブルで停まってるマシンも多かったしね……。それでも、手元計測では自己ベストを更新できてるみたいだから、まぁまぁかな。
相変わらずクール……っぽい雰囲気のヨシナリ。話を聞いたのはレースを終えて少し時間が経ち、レーシングスーツを脱いだ後だからかもしれない。それに、こういう落ち着きがなければ、マン島TTレースを生き残れないのだろう。……落ち着き? ヨシナリが、落ち着き……?
ヨシナリ──そういえばさ!
GO──ナニナニ? レース中になんかあった?ヨシナリ──ううん、バレンティーノ・ロッシがオレに会いに来たよ!
GO──正直に言うと?
ヨシナリ──すれ違っただけ。ハッハッハ。
全然落ち着いてない。ちっとも落ち着いてない。でも、コース上では頭脳をフル回転させ、シナプスも最高速度で働かせながら、叩き込んだコース情報を活かして走りきった……に違いない……のかなあ?
ヨシナリ──ムリムリ。とてもじゃないけど、ムリムリ。全部活かせてたら、もっといいタイムで走ってるよ。それより、そうだね、「ホントに気を付けなくちゃ」って、自重して走ったかな。体が疲れてくると、アクションが遅れる。倒し込みの遅れは命取りだからね……。
GO──ホントにハードなんだね……。この後のレース予定は?ヨシナリ──明日、スーパーストッククラスの決勝が4周あるんだ。その後、もしかしたらセニアTTに出られるかもしれないよ。
GO──各クラスのタイム上位者が出られるっていう、栄光のセニアTTね!?
ヨシナリ──うん。でも正直、出られても出られなくてもどっちでもいいや。あ〜、疲れた!
「疲れた!」の声も弾みまくっているヨシナリ。夢のマン島TTレースで完走を果たし、言葉以上の充実感や達成感をジワジワと噛み締めているようだ。でも、まだレースは終わっていない。明日のスーパーストック決勝レース、そしてもしかしたら出られるかもしれないけど出られても出られなくてもどっちでもいいセニアTTクラス決勝レースに向けて、しっかりと体を休めてほしい。
ひとまず、お疲れさま!
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「SBKクラス43位」について
SBKクラス“出走”は約70台。つまり約70台走った中での43位であって、50台走った中での43位じゃねぇぞと。「約70台のうち約20台もリタイヤしたサバイバルレースで、オレはきっちりと生き残っての43位である」と。ヨシナリは言いたいのであります。
そもそも出走台数が“約”70台とアバウトなんだから、どっちでもいいじゃねぇか。と思ったアナタ(とワタシ)。それは大間違いです。レースとは、1台でもいいから前に出たい人たちが競い合う競技なのだから。
本人の名誉のため、ここに慎んで訂正いたします。ヨシナリのSBKクラス決勝レース順位は、出走70台中43位でした!
間もなく、スーパーストッククラスの決勝が始まります。“出走”何位か、ご注目&ご声援ください!
【ミニフォトギャラリー・SBKクラス決勝レース編】


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スーパーストッククラス決勝はリタイヤ
GO──まずは心配な負傷について教えてください。
浅田──右足首と右肩胛骨を骨折しました。ギプスで固めるだけで、今のところ手術はしない方針です。骨折以外は至って元気。いつも通り「あのノリ」ですよ。GO──「あのノリ」キープとは、徹底的にタフな男だ……。しつこうようですがホントのホントに大丈夫なんですか?
浅田──ええ、決して命に別状があるような深刻な状況ではないので、皆さんにもご安心いただきたいと思います。もちろんあちこち打ってもいますが、ケガ人とはいえ元気ですよ。何しろ相変わらずの軽口を叩いてますから。
GO──軽口……ですか!?
浅田──「腹減った」「水飲みたい」「看護婦さんカワイイ」なんてね(笑)。
GO──そんなヨシナリと言えども、実は落ち込んでいるのでは?
浅田──「応援してくださった皆さんに、本当に申し訳ない」と繰り返し言ってます。でも、落ち込むというよりは、自分に負けた悔しさでいっぱいみたいですね。
GO──どんな転倒だったんですか?
浅田──転倒の前の周に、19分34秒という自己ベストタイムが出て、絶好調だったんですよ。
GO──ああ、ヤバいパターンだ(笑)。
浅田──それでスケベ心を出しちゃたんです。
GO──分かりやすいなぁ、もう……。
浅田──そして「完璧にイケてる!」と勢いに乗った3周目、ブレーキングが遅れての転倒でした。
GO──分かりやすすぎる!
たくさんの応援を背に受けて、できる限りの努力と準備をしたヨシナリだったが、マン島TTレースにはやはり独特の厳しさがあったようだ。難コースとの戦いはもちろんだが、攻めたい自分との戦いでもあったのだろう。
「リタイヤ」の4文字に染みこんだ、ヨシナリの涙と汗と笑い。さて、いったいどんな味がしたのか、いずれ本人のコメントをお届けしたいと思います。
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ヨシナリ、元気です!
……いや、華麗かどうかは定かではないが、複数の関係筋によると、元気に過ごしていることだけは間違いないようだ。今週中には日本に帰国する予定。皆さんの前で、ガッハッハと元気な笑顔を見せてくれることだろう。
先ほど配信された「Club TROFE事務局」リリースに、ヨシナリのリザルトが掲載された。こちらのブログにも転記しておこう。
●スーパーバイククラス
・プラクティス総合結果 69位(出走81台)
ベストラップ 19分46秒70
・決勝
順位 43位(完走50台)
トータルタイム 2時間02分17秒82
ラップ別タイム
1LAP 20分15秒95
2LAP 20分06秒00
3LAP 21分07秒09
4LAP 19分58秒79
5LAP 21分00秒16
6LAP 19分49秒84
●スーパーストッククラス
・プラクティス総合結果 不明(未発表)
ベストラップ 19分46秒70
・決勝
順位 リタイヤ(完走53台)
ラップ別タイム
1LAP 19分56秒74
2LAP 19分34秒10
3LAP -
4LAP -
ヨシナリがマン島に行ってから、当ブログの更新を担当させてもらっている、僕・フリーライターの高橋剛。何人かの方から「あれ? マン島行ってるんじゃないの?」と言われたが、実際はめちゃめちゃ埼玉県にいた。
が、この数日、心は常にマン島にあった。「ヨシナリ、どうしてるかな…」「ヨシナリ、頑張ってるかえ…?」「チームの皆さんにご迷惑をかけちゃいないだろうねぇ…」「あの少ないボキャブラリーで、英語は大丈夫かい…?」「洗濯物ためちゃあかん…」「野菜食べなあかん…」と、もはや田舎のおばあちゃん級の心配をしていた。
そして、2006年、マン島に行った時の空気を思い出す。TTレースを観戦している時、島内を観光している時、何もない北はずれの海岸でぼーっと波を見つめている時。マン島の空気はいつも少し冷たくて、透明だった。
ヨシナリがあの空気の中にいるのかと思うと、それだけでうらやましい。そして、その空気を信じられないほどのスピードで切り裂いたヨシナリに、早く話を聞いてみたい。
けど、きっとくだらねぇバカ話で終わっちゃうんだろうなぁ……。それでもいいや。
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交錯する「満足」と「残念」
ヨシナリ──いやぁ、心配をかけちゃってごめんね〜。
GO──うおっ、ヨシナリの肉声だ! 予想以上にうれしい自分が、なんか悔しい。それにしても、やってくれちゃったねぇ!ヨシナリ──調子よすぎて、自分の中になんか入っちゃったみたい。そこを考えて抑えないと行けないんだよなぁ。身をもって知ったよ。
GO──でもさ、でもさ、ノリノリでイッちゃうとこが、若くていいじゃん(笑)。
ヨシナリ──っていうかね、ただのバカ(笑)。
明るい。ひたすら明るい。たくさん人たちにインタビューさせてもらった経験からも、分かる。ヨシナリは明るさを偽っていない。無理に明るく振る舞ってもいない。本当にバカみたいに明るいのだ。強ぇ。
GO──せっかくだから、バカっぷりを詳しく。
ヨシナリ──クラッシュの前の周で、マウンテン区間で最も苦手だったセクションの走り方が分かったんだ。それでポーンとタイムアップして、コーフン状態だったんだね。ピットロードでウイリーしたり、給油場ではリヤブレーキスライドでキューッ! なんて停まったり、キャラに合わないことをしてたんだ。GO──めっちゃ分かりやすいテンションの上がりっぷりだね。
ヨシナリ──「あと2周、結構スゴいタイムが出ちゃうかも!?」なんて出て行った3周目、ジョン・マクギネスとかトップライダーに抜かれるんだけど、そのたびにラインが見えるじゃん。「いいねいいねー!」なんて、もうホントにノリノリだった。
GO──目に浮かぶよ。
ヨシナリ──で、マウンテン区間に入るところで、ガイ・マーティンに抜かれたんだ。でも、いつまでも彼が視界の中にいるワケですよ。
GO──トップライダーに着いて行けたら、男の子としては、「オッ、コレは……」ってなるよなぁ、そりゃあ。
ヨシナリ──無理してたつもりはないんだけど、速すぎたんだろうね。後はもう、ご想像にお任せ(笑)。
GO──は、もう好き勝手に想像します!
「怖くなかった」とヨシナリは言った。そのことの怖さ。「入っちゃいけないゾーンに足を踏み入れてたんだ。そのことに気付かなかった。ただひたすら『乗れている!』という快楽の中で、バイクと完璧にシンクロしてたんだ」とヨシナリは言った。「それって、一番ヤバイよね……」
GO──やっぱり、ものすごく怖い思い出なのかな?
ヨシナリ──「2度と出たくない!」ってことは、全然ない。むしろ、「ちゃんとやり遂げたい」って思いの方が強いよね。自分が想像していた以上の好タイムが出せた。スーパーバイククラスで完走できたことには、ものすごく充実感がある。各クラス上位者が出場できるセニアTTへの出場権も得られ、ニューカマーとしては上出来以上の出来だった。
だが、成し遂げられなかったこともある。エントリーしたすべてのレースを、キッチリと完走する。みんなと一緒にピットやホスピタリティの後片づけをする。そしてビールで乾杯して、「またね!」とみんなと別れる。それがヨシナリの言う「やり遂げる」こと。
「満足」と「残念」を交錯させながら、病院のベッドの上で身悶えるヨシナリであった。……病院? そうだヨシナリ病院にいるんじゃん! 体はどうなのよ!?
ヨシナリ──いやもう、元気元気! 皆さんご存知の通り、右足首と肩胛骨と肋骨をやっちゃってて、さすがに気軽にスキップってワケにはいかないけど、マジで元気だから! 皆さんにもご心配、ご迷惑をかけてして本当に申し訳なく思っていますが、松下は元気です! 今週中には日本に帰れないかな〜と思っていますので、帰国したらイジリ倒してくださいね!
車いすなのか、松葉杖なのか分からないが、恐らく多少は痛々しいスタイルでの帰国が予想されるヨシナリ。きっと、イジりたくてもイジれない。ずりぃの。
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デザイナー、イベントMC、レースアナウンサー、レーシングライダー、バックカントリースキーヤー、モデルなど、多彩な活動を精力的に行っている超個性派二輪ジャーナリスト。09年6月、世界最古のロードレース『マン島TT』への出場が決定している。08年のもて耐ではBMWチームの勝利に貢献するなど、ビッグイベント耐久で立て続けに優勝を飾り、バイクの大小に関わらず、なんでも乗りこなす高いスキルを証明して見せた。イベントレースにも積極的に参加し、オートバイの楽しさと文化性を広く啓蒙する、愛車BMW R1100Sとの旅を愛するツーリングライダーの側面も持っている。