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松下ヨシナリの毎日が最高!

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2009.05.31

ヨシナリ、新人2番手デビュー!

マン島時間の5月30日(土)夕方、松下ヨシナリが、ついにマン島TTレースに出走!! 新人を表すオレンジ色のビブを着用したヨシナリは、イアン・クォイルさんを始めとするマーシャルによる先導付きのニューカマーセッションで、まずはTTコースを1周した。

GO──ついに走行キターッ! どうだったどどっうだったたうどうだったう!?(慌てすぎ)コースインする時は緊張した!?

ヨシナリ──全然……。
GO──エエッ!? 今、「ZEN ZEN」って聞こえたけど、いやいやいや、まさかまさか。もちろん聞き間違いだよね?
ヨシナリ──ううん、ホントに全然緊張しなかった。それよりオレ、マーシャルの真後ろに着けてたんだけど、コースイン直前に横入りしてきたヤツがいてさ。だけど走り出してみたら、ソイツがすげぇ遅いんだ。しばらくガマンしてたけど、どうしても抜きたくなって、前に出てから「おまえは下がってろ!」「邪魔だジャマ!」ってアピールしたりしてさ。
GO──あ、熱い……。
ヨシナリ──だってさ、ソイツが遅いから、マーシャルが後ろを振り返ってペースを落としちゃうんだよ!?「何やってんだよオイ!」って言いたくもなるよ。
GO──熱すぎる……。
ヨシナリ──ま、ソイツは途中から見えなくなったけどさ。19人のニューカマーを何人かごとのグループに分けて走るんだけど、オレたちのグループはまぁまぁ速かったみたい。それでも30分ぐらいかけてるからね。ゆっくりすぎちゃって。でも、コースを思い出しながら冷静に走るには、ちょうどよかったかな。
GO──あ、あのさ……。もしかしたらヨシナリって、ホントにスゴイ人なの……?

1周のニューカマーセッションの後、いよいよプラクティスだ。しかし、「名も知らぬリヤサス」が抜けてしまうというトラブルに見舞われ、交換に時間がかかったため、ヨシナリはプラクティスを2周しかできなかった。さらにリヤサスは純正を使用。それでもヨシナリは、「ホントはスゴイ人なの……?」と思わせるに十分なパフォーマンスを見せたのである! バンバン!!(机を叩いている)

GO──プラクティスのタイムはどうだったの?

ヨシナリ──一応、22分の真ん中ぐらいは出ちゃったみたい。19人のニューカマーの中では、2番手だったよ。
GO──ブクブクブク(泡吹いて倒れてる)。
ヨシナリ──みんなは4周ぐらいしてたんだけど、オレはホラ、リヤサス交換があったから2周しかできなかったんだ。タイヤもあったまってないし、ガソリンも満タンだし、条件はあんまりよくなかったんだけどね。
GO──…………(気を失ってる)。

Photo by Peter Callister

Photo by Peter Callister

すげぇ! マジですげぇ! いや、こうやって近いトコにいる人間が「すげぇ!」なんて言うのは、手前味噌臭がプンプンするから大ッ嫌いなんだけど、こればっかりはホントにすげぇ! っていうか、マジでスゴすぎておちょくれないから、面白くなくなってきた……。

ヨシナリ──スゴくなんてないから。イアンが用意してくれたバイクが速いんだよ。伝説のライダーのチームだし、体制にもホントに恵まれてるしね。それに、速い連中はとんでもなく速いよ。ビュンビュン抜かれるし、「抜かれたッ!」と思った瞬間にビューンと見えなくなっちゃうんだ。追いつける気がしないもん。

GO──擬音にさえ説得力が……。
ヨシナリ──ニューカマーが着用しなくちゃいけないオレンジのビブ、「カッコ悪ぃなぁ」と思ってたんだけど、いやもう、アレがなかったらヤバイよ。速い連中との速度差がデカすぎて。「ボク、新人でーっす! 気を付けてくださぁーい!」って全力でアピールしないと、シャレになんない。
GO──でもさ、話してる調子からすると、落ち着いてるっていうか、余裕がある感じなんだけど……。
ヨシナリ──まぁ、オレクラスになるとね。
GO──もはやジョークとして受け止められない……。
ヨシナリ──正直、まだ突き詰めたチャレンジをしてるワケじゃないんだ。比較的淡々と、そうだな、7割ぐらいの力で走ってる感じ。それでも結構ヤバイ目には遭ってるんだよ。

1コーナーというより交差点右折のクォーターブリッジでオーバーランしたり、マウンテンコースの全開区間で右カットインが一瞬遅れたら思いっ切りはらんでアウト側の側溝に落ちそうになったり、300km/hオーバーのストレートでは風圧というより負圧でヘルメットが振られて「400km/hは出てんじゃね?」と感じたり、バンプが激しくてほとんどフープス(モトクロスコースに設定された洗濯板状態の凸凹)だったり……。

ヨシナリ──大変だよ〜。「なんじゃそりゃ!」ってことばっかりで。それでもハンドルにしがみつくでもなく、それほど疲れてもいないし、いい感じで走れたと思うよ。

GO──なんだよ、そのオトナな感じのコメントは!!
ヨシナリ──そりゃ、こう見えてかなり準備したもん! 下見で30周以上コースを回ったし、フィジカルトレーニングもしてる。万全とは言えないけど、忙しいスケジュールの中でやれるだけの準備をしてきたからね。だからこそ、それなりの結果が出せたんだと思うよ。
GO──カッコいいッス! ヨシナリ、カッコいいッス!!
ヨシナリ──今頃気付いたの? ハッハッハ。

「ハッハッハ」でさえ、猛烈な説得力である。しかも「焦らず無理せず、楽しんでるよ」とヨシナリは言う。男として、人間として、ワンランクもツーランクも上がったかのようなステイタス感を漂わせると、ヨシナリは「今日だけは、ね」と自らに課していた禁酒を解き、ビールを一杯だけ飲んだ。クーッ! 何から何までかっちょいい!!

ヨシナリ──そういえば、この間の会食以降、ジョンが結構話しかけてくれるようになったんだよね。ジョンったらさぁ、

GO──ジョンって、マクギネスのことね?
ヨシナリ──ああごめん、つい。そう、ジョンがね、「どうだった?」「調子はOKか?」って話しかけてくれるんだ。まぁオレクラスともなれば、気むずかしいってウワサのジョンも愛想よくなるってことだよ。ハッハッハ。
GO──でも、ヨシナリの返事は……。
ヨシナリ──やだなぁもう。“Yes”“No”“OK”。この3つだけに決まってんじゃん。ハッハッハ。

いい。3単語しか話せなくてもいい。許す! 今日(5月31日)は久しぶりのオフだというヨシナリ。存分に休んで、月曜日以降のセッションに臨んでほしい。「タイムの上がり幅が分かんないんだよな〜。ここから全然タイムアップできないのかもしれないし」と言いつつ、8割5分の走りで、着実に自ら設定した目標──20分切り──に近付こうとしているヨシナリ。笑いの中に隠された努力は、意外とあっさりと報われるような気がしつつ、でもやっぱり無理しないでね。

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ピーター・カリスターさんWEBSITE http://www.petercallisterttphotos.co.uk/
マン島TTレース 公式WEBSITE http://www.iomtt.com/
マン島TT2009 プロモーション動画 http://www.youtube.com/watch?v=avCMqvRsdaE
2009.05.31

「リアル新人」ではトップタイム!

さて、いまだコーフン醒めやらぬところではあるが、改めて2009マン島TTレース・新人2番手の男、松下ヨシナリに走行1回目についてもう少し語ってもらおう。

ちなみにヨシナリからの続報によると、新人トップタイムの選手はマンクス・グランプリ(同じコースを使って行われるアマチュア向けレース)経験者。まったく初めてマン島TTコースを走ったライダーとしては、ヨシナリがトップだった。

「GOちゃんさぁ、ちゃんとそのことも書いてくんないと。分かってんのかなオレの偉業を。あ、でも、できるだけ謙虚な感じで書いといてね」とヨシナリ。どっちでもいい。何でもいい。いずれにしろ、スゴイんだから。

それでは、えー、マン島TTレーサー、松下ヨシナリさんです! パチパチパチパチ。

ヨシナリ──レーサーじゃなくて、本業はデザイナーだから。たまに司会の仕事をさせてもらったりするけど、逆の立場ってなんか照れるなぁ。

GO──いいじゃないですか! さて、リアル新人としてはトップのヨシナリさんですが、どんな小学生だったんですか?
ヨシナリ──そこから? 話そこから?
GO──冗談、冗談。ありきたりな質問で申し訳ないけど、怖くないの?
ヨシナリ──そうね、思ったより楽しかったかな。クルマやバイクでたくさん下見走行をして、コースの注意点もそれなりに頭に入ってたから、落ち着いて走ることができたよ。

ヨシナリの話を聞きながら、「マン島TTレースって、かなり知的なレースなのでは……?」と僕は思った。危ない所、ブレーキングポイント、シフトポイント、マシンの起こし方、アクセルを開けるべき所、その他たくさんの「注意事項」をひとつひとつ覚えていく。このレースに求められるのは、闇雲にブッ飛ばす蛮勇ではなく、物事を理解する冷静な知性や、攻めたいライダー魂に強力にストップをかける抑止力なのではないかと。ヨシナリ自身、「走る神経衰弱」と表現していた……。

ヨシナリ──まぁ、そういう面もあるけど、ただクレイジーにブッ飛ばしていくだけのヤツも結構いるよ。

GO──あ、そうなんだ(笑)。
ヨシナリ──チームメイトのマッツ・ニルソンはそういうタイプかな。……だけど、正しい道はそれほど広くないような気がする。それを覚えて走りに反映できれば、目標の20分切りも何とかなるんじゃなかな……。
GO──ってことは、22分の真ん中あたりという今回のタイムは、もしかして余裕?
ヨシナリ──全然余裕。もちろん怖い場所がたくさんあって、60kmのコースはどこも気は抜けない。でも、そうだね、楽しみながら走れてるし、まだまだイケるんじゃないかな。
GO──怖い所っていうのは……?
ヨシナリ──とにかく速度域が高いから、一瞬でスゴイ距離を進んでしまう。ちょっとでも目測を誤るととんでもなくはらんでしまうんだ。それから、やっぱりギャップだね。イアンにいろいろ聞いたんだ。スロットルはどれぐらい開ければいいのか、姿勢はどうしたらいいのかを、個々のギャップについて細かく教えてもらった。それがすごく役に立って、本当にありがたかったよ。

Photo by Peter Callister

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「ありがたい」。1回目の走行セッションを終えただけにも関わらず、ヨシナリはまるで全セッションが終わったかのように、たびたびそう口にした。いやいや、まだまだたっぷり走るんだから、そんなにありがたがってたら、この後、足りなくなっちゃうよ。とでも言いたくなるほどの感謝感激雨あられっぷりだ。

ヨシナリ──だって、本当にありがたいんだ! 日本で応援していただいてる皆さん、支援していただいているスポンサーの皆さん、いろんなかたちで手伝ってくれてる皆さんのおかげで、ボクは走れてるわけだからね。イアンは本当によくしてくれるし、彼の率いるチームは最高だし、壊れたリヤサスを一生懸命に交換してくれたメカニックにも言葉にならないぐらい感謝してる。ピーターさんの写真も最高で、本当にありがたいことばっかりだ。あ、オレのブログを更新してくれてる伊丹くん(manx.jp Matsushita’s blog http://www.manx.jp/matsu/) とGOちゃんにも感謝してるよ!

GO──…………ヨ、ヨシナリ…。ヨシナリ〜〜ッ(号泣)。
ヨシナリ──泣かないでGOちゃん。ホラ、顔を上げて。リアル新人でトップタイム出しちゃって我ながらスゴイと思わざるを得ないオレだけど、謙虚さと感謝を忘れないオレの素晴らしい姿勢を、みんなに伝えて。決して調子に乗ることなく、安全に、無理なく、楽しんで走ってるオレのことを……。
GO──……ヨシナリ……。だけど英語は?
ヨシナリ──“Yes”“No”“OK”。この3つだけ。ハッハッハ。

ピーターさんが撮ってくれた写真を眺めながら、「うおー、スッゲー! オレ、TTレーサーみたいじゃん! カッチョイイ!!」と叫ぶ素朴なヨシナリ。マンクスラジオの取材を受けながら「お〜ッ、このDJオレも知ってるぜ! こんな人に話を聞いてもらえるなんて!」と感動する素直なヨシナリ。そして、関わってくれるすべての人に感謝する純朴なヨシナリ。だけど英会話は3つの単語だけでこなすヨシナリ。

すごいのかすごくないのか、全然分かんないところが、すごい……。

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2009.06.01

走行初日最高速!

マン島時間5月30日(土)夕方に行われたプラクティス初日。もっとも速いサービーストレートでの最高速を叩き出したのは、ゼッケン77、TEAM BLACKHORSE YAMAHAが誇る期待の新人、Yoshinari Matsushitaすなわち日本国埼玉県在住の松下ヨシナリだった。

最強ライダーであるジョン・マクギネスはもちろん、TT参戦通算100戦目・チームオーナーでありアドバイザー、いわば恩師にあたるイアン・ロッカーさえ遠慮なく置き去りにする177mph(283.2km/h)をマークしたヨシナリ。

最高速をマークしながらも「ま、オレクラスともなれば、これぐらいは、ね……」と余裕を見せる彼の目は泳ぎまくり軽く充血、指は震え、ヒザはガクガク、よろめきながら、本日のプラクティス2日目前の練習に出かけるのだった……。

松下ヨシナリ談

「しつこいようだが、さらに情報を加えたい。リザルト上では新人トップタイムとされるライダーは、マンクス・グランプリでなんと優勝していたそうだ。私はマン島TTコース初走行ながら、そんなライダーに次ぐタイムを出してしまった。しかも最高速までも……。さすがにこれは我ながらスゴイと認めざるを得ない……。
いやいやいや、これはあくまでもイアンの用意してくれたバイクがいかに速いかを証明しているだけ。私の偉業ではない。私の偉業……。私の……。
ああ、こうして自らハードルを上げ、セルフプレッシャーが高まりつつある。しかし、この後のセッションも、今まで以上に慎重に、落ち着いて走るつもりだ。
なお、私にも人間味が残されていることを知りたい方は、コチラのサイトを見てほしい。下の方に掲載されているゼッケン77が私。絵に描いたような失敗ジャンプである」

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2009.06.02

お詫びと訂正と走行2回目情報

松下ヨシナリを応援してくださっている皆さんに、お詫びと訂正です。前回、「走行初日最高速!」とのタイトルで、プラクティス初日、サービーストレートで最高速をマークしたとの記事を掲載いたしました。しかし、現地からの追加情報により、誤りだったことが判明。ここに事情を説明し、慎んでお詫びと訂正をいたします。

GO──ナニナニ、どういうこと?

ヨシナリ──ガセネタガセネタ、超ガセ。実際は全然下の方だったみたい。いやぁ、おかしいと思ったんだよね。そもそもイアンに教えてもらった情報だったんだけど、何度も何度もイアンに聞いたもん。「ホントか? ホントなのか?」って。
GO──そしたら?
ヨシナリ──「間違いないから」って言ったんだよね。それでGOちゃんに伝えたんだけど……。まったくもう、イアンったら。イヤンなっちゃうよ。
GO──…………。
ヨシナリ──あの日の最高速マーカーは、やっぱりジョンだったみたい。あ、ごめん。ジョン・マクギネスね。一緒にメシ食って「ジョン!」「マツ!」と呼び合う仲になっちゃったから、つい。
GO──そのネタ、引っ張るね。
ヨシナリ──でもね、ニューカマーの中では間違いなく最高速トップだったみたいだよ。
GO──そう……。次は「ニューカマーのうち日本国埼玉県出身ライダーの中でトップ」とか?
ヨシナリ──ハッハッハ、オレしかいねぇし。

6月1日のプラクティスでは、驚異の21分3秒をマーク! いや正直なところこのタイムが驚異なのかどうかは不明だが、初走行より1分以上のタイムアップを果たしたヨシナリ。ガセネタも含めてスゴイこと尽くしで、ヨシナリ、スゴイナリ!

ヨシナリ──GOちゃん、つまんないよ。

GO──ごめん……。
ヨシナリ──っていうか、どこがギャグなの? ダジャレにもなってないし……。「ヨシナリ、スゴイナリ」ってさぁ。
GO──ごめんって言ってんじゃん! そんなことより走行はどうだったの?
ヨシナリ──ZZZzzz…
GO──寝てる!? 寝ちゃってる!? 人の失敗ギャグをさんざんいじっといて、寝ちゃってる!?
ヨシナリ──ひやは、れんれんおきれるよ。すっげぇマシンが暴れてさあ。リヤサスをオーリンズに交換したんだけど、セッティングが合わせられなかった。コースインのタイミングがうまく取れなくて、みんな4周するところを3周しかできなかった。

Photo by Peter Callister

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GO──それで21分3秒! ってことは、まだまだイケる?

ヨシナリ──ZZZzzz…エッ、ハイ、うん、大丈夫。プラクティスは夕方6時20分から始まる予定なんだけど、30分や1時間は平気で遅れるのよ。走り終わって宿に戻ると、夜11時とか11時半になるんだ……。
しかも昨日は、イアンよりもいいタイムを出したチームメイトのマッツ・ニルソンがゴキゲンでさ。「マツにコースを教えてやるよ」なんて、夜、コース下見をもう1周付き合ってくれたんだよね。
見た目はゴッツくてタトゥだらけでワルそうなんだけど、マッツ、実はすごく優しいんだ。しかもコース内の目印をすごく緻密に設定しててさ。マッツの厚意はすっごくありがたいんだけど、ちょっと眠い……。
GO──マッツとマツ、か。……言わない。何も言わない。

「決勝の6周はキツそうだな……」と感じ始めている松下ヨシナリ、ギャグに限界を感じ始めているGO。いずれも、39歳の初夏。

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2009.06.04

ヨシナリ、さらにタイムアップ!

たった一度だけだが、マン島TTレースを生で見た身としては、あまりタイムにこだわりたくない気もする。サーキットに比べると、やはり比べものにならないほどリスクが大きいからだ。反面、タイムが自分の頑張りの証だということも分かる。だから、松下ヨシナリが順調にタイムアップすることを、うれしくも誇りにも思いつつ、「くれぐれも気を付けてね」と言いたくなる。

プラクティス3日目、ヨシナリはまたしても自己ベストを更新し、20分12秒17をマーク! 多くの人に「無理じゃねぇ?」と言われていた19分台も、目前まで近付いた。しかしヨシナリは「そろそろ壁に当たってタイムが落ちてもおかしくない。無理はしないよ」と浮き足立つことなく、堂々と、立派に、落ち着き払ってる。

GO──すげぇじゃんすげぇじゃんすげぇじゃん!

ヨシナリ──そう? まぁオレクラスともなれば、これぐらいはね。
GO──それ、最初のうちは笑って聞き流してたけど、もはや冗談じゃなくなってきたね。
ヨシナリ──いやいや、マシンも速いし、体制も素晴らしいし、みんな親切にしてくれるし、何よりも応援してくださる皆さんのおかげですよ。
GO──そういうコメントにも重みが増してきたよ!

ちょっと前に、ヨシナリにこんなことを聞いてみた。「どんな人が、マン島TTレーサーに向いてると思う?」。彼は即答した。「いいかげんでテキトーで、でも細かいことをないがしろにしない人。地道で、謙虚な人かな」。ヨシナリが自分のことをイメージして言ったことは間違いない。「我こそがマン島レーサーである」と。その心意気やよし。レースなんだから、それぐらいの気合いを見せてくれもいい。

ヨシナリ──1分ほどタイムを縮めたこともうれしいけど、1周目から前回のタイムを超えられたのがよかったなぁ。マン島TTレースではウォームアップラップやサイティングラップなんかない。いきなり新品タイヤ・ガソリン満タン状態で走り出して20分台で回れたっていうのは、ちょっと自信になったよ。

GO──っていうことは、目標の19分台も……。
ヨシナリ──うん、見えてる。もう少し目が慣れれば、イケないことはないんじゃないかな。
GO──すげぇ……。まったく問題なく、順調?
ヨシナリ──そうでもないんだ。リヤサスがしっくりこなくてねー。まだマシンが暴れるんだよ。1日のうち2、3回はおっかない目に遭ってるんだよね……。
イアンやメカニックの中川くんと相談して、セッティングを大きく変えてみようかなと思ってる。アクセル開けっ放しで切り返す超高速S字コーナーとか、すっげぇ高速コーナーでの寝かし込みで、ワンテンポ遅れるんだ。フロントの動きを出すために、前後ともサスセッティングを今までと違う方向に振ってみようかと。
ここんとこちょっと疲れも溜まってきてて、自分のアクションがワンテンポ遅れちゃうこともあるんだ。ふだんの生活で言えば、朝起きられないし、夜はすぐ落ちちゃう。マン島の洗礼を受けてるよ。
GO──くれぐれも気を付けてね……。オレにとっては、タイムよりもヨシナリの方が大事だから。
ヨシナリ──GOちゃん……。
GO──ヨシナリ……。

見つめ合う、40歳目前の2人。

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Blogger Profile

01|松下ヨシナリ
01|松下ヨシナリデザイナー、イベントMC、レースアナウンサー、レーシングライダー、バックカントリースキーヤー、モデルなど、多彩な活動を精力的に行っている超個性派二輪ジャーナリスト。09年6月、世界最古のロードレース『マン島TT』への出場が決定している。08年のもて耐ではBMWチームの勝利に貢献するなど、ビッグイベント耐久で立て続けに優勝を飾り、バイクの大小に関わらず、なんでも乗りこなす高いスキルを証明して見せた。イベントレースにも積極的に参加し、オートバイの楽しさと文化性を広く啓蒙する、愛車BMW R1100Sとの旅を愛するツーリングライダーの側面も持っている。
東京生まれ、179cm、72kg。

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